その数ヶ月後に再入院し、予断を許さぬ状況が続いていると友達から伝え聞いた。それでもきっとまた会えるだろうと思っていたから、報せを聞いた時は凄く悲しい気持ちになった。
僕らはまだ若い。子供の頃は思わなかった。30歳を過ぎてこんなにも新鮮な気持ちで生きていられると。20代の混沌とした時期を経て、無駄と思っていた出来事すら大きな経験として蓄積され、自分のより深い場所にフォーカスが定まって行く。そしてやりたいことはまだまだある。「これからは書くことを中心にしていきたいんだ」と話してくれた、彼の翻訳した本はとてもさわやかな感動作だった。読後の感想を直接伝えられなかったのが非常に心残りである。
ご冥福を心よりお祈りいたします。
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盲目の犬ぞりレーサー 私に見えるのは可能性だけ
レイチェル・セドリス 著
山田貴久 訳