2000年以降、僕が最も聴きこんだアルバムが彼女のSegundo。最初に聴いた時は我が耳を疑うほどの衝撃と感動。輸入盤だったためアルゼンチンのアーティストという以外詳しいプロフィールは分からず、歌詞も全く分からず。とにかく見たことの無い景色に迷い込んだような気持ちになった。
そして初めて見た今回のライブではさらにさらに凄い景色に連れて行かれた。リズム隊を従えた3ピースのシンプルな編成ながら、ガットギター、シンセを色とりどりに操り、リアルタイムで自分の演奏や声(!)をサンプリングループ。アルバムを聴く限り綿密なプログラミングなのかと思っていたサウンドは、目の前をそれ以上の複雑さで通り抜けて行く。技術もさることながら、その多彩なアイディア。それもあまりにさらりとしていて、こちらが立ち入ることのできないようなものではなく、逆に完全に開かれている。彼女の心はもの凄くオープンだった。奇をてらったり、新しいもの、誰もやっていないようなものを、というような発想ではないんだと思う。心で鳴っている音をただ形にしているだけに見えた。聴こえた。
ライブはあっという間に終わってしまったように思えた。心の深いとこまで打たれまくった僕は、へろへろになりながらも不思議と何でもできるような気分だった。僕が音楽に求めているすべてがそこにあったといってもいい。本当に本当に行ってよかった。ファナ、ありがとう。
新譜も出ましたが、まず聴いてほしい一枚。2003年リリース。
Segundo / Juana Molina