最近読んだ中でおもしろかったのが、これ、
FCバルセロナの人材育成術/アルベルト・プッチ・オルトネーダ
サッカーファンならずとも知っているであろうリオネル・メッシも所属するFCバルセロナ(バルサ)は、現在世界最強とも、史上最強とも言われるスペインのクラブチーム。ただ勝つというだけではなく、美しく勝利するのがこのチームのスタイル。見ているだけでうっとりするようなパス回しは、もはや芸術、無形文化財の域だ。
プロサッカーチームには選手育成のための下部組織があって、その中でもバルサの育成システムは世界中から注目を集めている。メッシを筆頭に、今バルサのトップチームでピッチに立っているほとんどのレギュラー選手が「バルサの」下部組織出身。いい選手を高額で他のチームから獲得、補強するチームがほとんどのプロサッカー界の中で、これはものすごいことだったりする。
この本の著者は、バルサ育成組織のテクニカルディレクター。6歳から始まり、年代ごとに分けられる下部チームの育成方法、ある意味でサッカーより大切にされる人間教育、親との関係などについて、監督から現役選手、組織の関係者の貴重な声も多く収められている。
プロサッカー選手を目指す者、その保護者、そして指導者に向けられて書かれたという本ではあるけれど、他のスポーツはもちろん、自分を含め目標を持つ全ての人にとって意味のある一冊だと感じた。表面上の形は違えど、ものごとの本質、本当に大切なことはそんなに変わらないのだ。
子を持つ親、特に夢や目標を持つ子の親御さんには耳の痛い部分もあるかも。でも、そこに向き合う価値は十分にあると思う。
翻訳は、バルサ下部組織初の外国人コーチ、現在バルセロナスクール・コーチの日本人の方で、イントロダクションでにはサッカーやスペイン、バルサについて親切な解説もあり。あまり詳しくない人にもとっつきやすいはず。おすすめ。